2022年04月05日

雑誌掲載作品レビュー(52)「おむすび探偵団」

今回のお題はマイコンBASICマガジン1987年12月号掲載の「おむすび探偵団」です。
内容は、俗に「マスターマインド」や「ヒット&ブロー」などと呼ばれるタイプの思考型ゲームです。
この手のゲームでは隠された数字や色、図形などを推理して当てるものですが、このゲームではおにぎりの中身の具を当てるというモチーフになっています。
おむすび探偵団1.png

ゲームが始まるとおにぎりが縦に4つ、横に8つ表示されています。
おむすび探偵団3.png
プレーヤーは画面右に表示されている矢印で具の種類を選択して上から順に当てていきます。
4つの具を推測すると、正解に対して具の種類も位置も合っているものはダイヤ、種類は合っているが位置が間違っているものはハートが表示されます。
この情報からおにぎりの中身を推測し、7ターン以内に正解するのが目的です。
おむすび探偵団4.png

ゲームとしては非常によく知られているもので、P6ではこれ以外にいくつか同種のゲームが発表されています。(AX-6やこちらのゲームなど)
このゲームはおにぎりの具を選ぶ際に「ふりかけ」「たらこ」「さけ!」など具の名前をTALK文で喋ります。この読み上げがテンポよく作られていて、これがゲームを楽しくする効果を生み出しています。
TALK文がゲームの楽しさにちゃんと貢献している稀有な例だと思います。
操作性も悪くはなく、ゲーム中はテンポよく遊べるのですが、ゲーム開始やリトライ時の初期化に異常に時間がかかるのは改善してほしかったところです。
おむすび探偵団2.png
もう一つ、やり込んでいくうちに気が付く致命的な問題として、このゲームにはいわゆる「電源パターン」が存在します。
電源パターンとは、コンピューターの乱数には再現性があるために、乱数により生成されるパターンが電源投入直後は毎回同じになってしまう現象で、このゲームでは電源投入後初回プレイ時の正解は必ず「ふりかけ」「おかか」「かつぶし」「さけ」となります。
電源パターンのあるゲームとしてはアーケード版テトリスが有名で、初回プレイ(ゲームセンターの開店直後)に特化したパターンが編み出されましたが、このゲームでは正解を覚えてしまうと後の発展がなくつまらなくなってしまうのが難点です。
前回も触れましたが、やはり読者投稿作品では乱数を使いこなせてないゲームが多いように思います。
おむすび探偵団5.png

ところで、なぜマスターマインドが「おむすび探偵団」になったのかという点についてですが、どうも同名のボードゲームが存在したようです。
こちらのサイトによると、84年に野村トーイから発売されたボードゲームのようです。
「こんぶ」が「おかか」になっている以外は具の種類も同じです。(この当時はツナマヨがまだ知られてなかったことがうかがえます)
このタイトルやモチーフの借用は今だったら問題になったのかもしれませんが、さほどメジャーなゲームでもなかったようなので、多分チェック時に誰も(野村トーイ側も含めて)気づかなかったのだと思われます。
まあ元がマスターマインドだし。

動画を撮りましたのでこちらもご覧ください。
ラベル:PC-6001 ベーマガ
posted by eighttails at 21:33| Comment(0) | 雑誌掲載作品レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。