2022年05月13日

雑誌掲載作品レビュー(54)「EXIT I」

今回のお題はマイコンBASICマガジン1987年2月号掲載の「EXIT I」です。
内容は「MYSTERY ROOM」等と同様の脱出系アドベンチャーゲームです。
かなりプレーヤーを悩ませることに力点を置かれた高難易度のゲームです。

このゲームは、Hashiさんのページでダウンロードして遊ぶことができます。
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コマンドは1から0までの数値入力、「シラベル」「タタク」などのコマンドの目的語になる単語はキーボードからカタカナ入力します。
余談ですが、筆者はこの手のかな入力のアドベンチャーゲームはPC6001VXのタッチキーボードを表示させてマウスでタイプしています。カナ文字が大きく表示されるためか、通常のキーボードでカナ文字を探しながら打つより数倍速く入力できます。
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冒頭でも触れましたが、このゲームの謎はかなり手ごわく、かなり難易度が高いです。
筆者は正攻法でのクリアを早々にあきらめ、プログラムを解読してクリアしました。
いきなりですが、以下、ネタバレとプログラムの解析結果を含みます。
所感としてはこのゲームは「プログラムの解読が本番」です。

このゲームは部屋から出ることが目的で、そのためにはドアロックの番号を解読する必要があります。
ゲーム中に得られる手掛かりは以下の通りです。

1. 「71」タンスの4段目の引き出しに入っている紙に書いてある
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2. 「74........」最初から持っている本を読んで、1.で得た紙に書いてあるページを開く
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3. 「..5....3..」壊れた電話を5回叩いた後調べると聞ける
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4. 「........45」冷蔵庫の中のパンを全部食べると出てくる鍵でキャビネットを開けて出てきた紙を読む
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5. 「...14.....」「ベット」(ベッドではない)がある部屋で「テンジョウ」を調べてベットに乗る(前方向に移動)
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3.の電話を5回叩くなど「サラダの国のトマト姫」の「WAIT」6回を彷彿とさせるトリックですが、5回叩いた後で調べるを実行しないといけないのが更に凶悪です。調べないと手掛かりは得られないし、5回以上叩くとまた壊れてしまいます。

5.の「テンジョウ」を調べるという手順ですが、これがかなりの曲者です。
このゲームでは「ミル」コマンドでその部屋にある物の名前が表示されるのですが、この「テンジョウ」は入力が必要な単語の中で唯一ゲーム側から提示されない単語となっており、自力で思いついて入力する必要があります。また、物の名前はDATA文の中に平文で書かれているのに対してこの「テンジョウ」だけは16進数に難読化されて他のDATAの中に隠されており、製作者が明確な意図をもって作り込んだハマリポイントであることが読み取れます。

本誌の掲載ページには特に難しい3.と5.の手がかりを発見した時のスクリーンショットが掲載されています。おそらく投稿時に編集部にはクリアまでの手順が提供されていて、それを元にヒントのつもりで掲載されたのではないかと想像します。

ここまでで見つかった虫食いになった番号を重ね合わせると「74514..345」となり、この穴に最初に見つかった紙の「71」を埋め込んだ「7451471345」が最終的な解答となり、これを最初の画面のドアロックに入力するとクリアになります。

つまり最初に入手した「71」という手がかりを2回使っていることになります。明らかに他の手がかりと体裁が合っていません。
プログラムを解析して分かったことですが、プログラム内には「.....98...」というデータが存在しており、最後の虫食いを埋めるピースとしてはこちらの方が適切と思われますが、このデータはプログラム内のどこからも使われておらず、ゲーム内には出てきません。
おそらく、手がかりをデータとしては用意したものの、リストが長くなりすぎてゲーム内に配置する余地がなくなり、別の場所で見つけた手がかりを使い回すように方向転換したのではないかと思われます。
このように、プログラムを解読することで様々な製作者のストーリーが浮かび上がってきており、これがこのゲームの真の醍醐味ではないかと思います。

ついでに言うと、上記の手がかりを発見したかどうかのフラグは管理されていないので、番号を知っていればいきなり初手でクリアできます。
とはいえ、80年代前半のAVGの厳しさを忠実に体現した、製作者からの挑戦ともいえるゲームなので、「私に解けないアドベンチャーゲームはない!」という自信のある方にはぜひチャレンジ!していただきたいと思います。
どうでもいいことですが、私は自動ドアの開け方がわからなくてすごく悩みました。単に移動コマンドで前に進めばいいだけです。
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ちなみに、エンディングではランダムに点を打っていくという画面効果が無限に続いてそのうち点が画面を埋め尽くしていくのですが、こうした演出は「TURNING ATTACK」や「YELLOW PARATROOP」でも採用されていて、まあ言ってしまえば一種の手抜きなわけですが、なぜ人はランダム点描を無限ループにしてしまうのかという謎は深まるばかりです。
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動画を撮りましたのでこちらもご覧ください。
ラベル:PC-6001 ベーマガ
posted by eighttails at 21:05| Comment(0) | 雑誌掲載作品レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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